<サンゴ礁地形とサンゴ群集の変遷:水族館前>

サンゴ礁の地形

水族館前エリアは、西側に突きだした備瀬沖のサンゴ礁によって冬の季節風からやや遮蔽された場所です。空中写真からは、備瀬の礁池から人工ビーチ前を通って水族館前にかけて海水の流れがあることが読み取れます。実際に、干潮時には人工ビーチ付近から沖向けの強い流れがあることを調査員がたびたび経験しています。備瀬西エリアと比較して礁嶺が低く(干上がる部分が少ない)、縁溝・縁脚系もさほど発達していません。礁斜面は水深約5mまで岩棚状になっていて、それ以深は急に落ち込んで砂礫が多い海底へと続いています。


サンゴ群集の変遷

沖縄美ら海水族館が調査を開始した1988年以前の、水族館前のサンゴ群集に関するデータや情報は残されていません。1972年には、備瀬から南側の本部半島沿岸はほぼ全域のサンゴ群集がオニヒトデの食害を受けて被度が低下していましたので、その中に含まれる水族館前エリアも同様であったと思われます(1, 2, 3)。
1988年に沖縄美ら海水族館によってライン調査が行われたときは、キクメイシ類と塊状・枝状のハマサンゴ類を中心とした、被度1〜16%のサンゴ群集がみられました。1994年の調査では、浅いところで卓状または散房花状のミドリイシ類を中心とする被度15〜30%のサンゴ群集が、深いところでは枝状ハマサンゴ類を中心とした被度約25%のサンゴ群集がみられました。この結果は、1990年に行われた環境庁のマンタ調査の結果とほぼ一致しています(6)。しかし、1998年の白化現象でミドリイシ類をはじめとする大部分のサンゴ群集が死滅し、同年の調査では被度が0.3〜8.6%に低下しました。2003年にはさらに被度が低下し、5m方形枠を用いて5地点から得られた平均的な被度も2%以下に低下しました。永久方形区調査でも同様な傾向でした。2006年にフォトトランセクト調査で測定したサンゴ被度は、水深3mで1.0%、水深10mで1.7%と、依然として低かったのですが、2008年から被度が増加し始め、2010年に測定した被度は水深3mで2.6%、水深10mで6.3%でした。いずれも、キクメイシ類と塊状ハマサンゴ類の小型群体が主体となっています。